DIYでスポット溶接機を作ってみる。その1
平川のチョット危険な実験室で紹介されている、パチンコ台電源のトロイダル式トランスを使った、リチウムイオン電池のタブ溶接用のスポット溶接機の製作に挑戦した。
色々あるが「12V鉛電池式は重い」「キャパシターは怖い」「完成品の中華製は信頼できない」「Amazonの中華リチウム電池式は1回ずつの待ち時間とパワーが、、」などと悩んだ結果選んだのが、この方式である。
上記ページに回路図が書かれているのでその通りに作ればOKなんだが、細かいところまでは書かれていないので、ご自分の製作の参考になれば幸いです。
0,材料・部品集め
- パチンコ用トランス ヤフオクで送料別で大体1000円前後 350VA 以上 ※上記ページで300VAから350VAに変更したら溶接がうまく行ったと報告あり。
- 5.5sq mm IV線 3M以上 当方はIVより柔軟かつ耐熱のHKIVを使用。ホムセンでIVが170円/1M , HKIV 250円/1Mだった。
- トランス式ACアダプター:ハードオフなどで200-500円。分解して中のトランスを取り出す。軽いのはスイッチングタイプだからダメ。下記のコントロールボードの動作にAC9~12Vが必要なため。200mAもあれば良い様子。
- トランス配線用の細線 : 手持ち。ほとんど電流流れないので細いのでよさそう。
- 熱収縮チューブ: 手持ち。10mm 8mm 5mm 3mm あたり?
- 内径3.2mmジュラコンスペーサー、M3ネジ10mm: 当方は20mmジュラコンを5mmずつにカットして使用、ネジは10mmだとギリギリ。スペーサーを10mm,ネジを20mmにするとちょうど良いかも?
- スポット溶接コントロールボード: アマゾンの売れ残りか?1700円ほどでゲット。アマゾンやヤフオクで通常2100円~3000円位。基本50Hz用なので、「60Hzの人は50/60Hz自動判別」とか「60Hz対応品」が必要なので要注意!!
- 入れ物: 100均Cando砂糖用 約172×135×H116 mm / 1.9L # 高さがギリギリになるので5.5sqの巻き線を横に避けないと蓋が閉まらない。高さが125mmくらいあればちょうどよい。
- 足踏みスイッチ: 国際電業 SKF-1H をメルカリで送料込み1200円。安物は何度か使っていると壊れそうだったので奮発。
- 溶接棒がわりの VVF 2.6mmΦ 通常売られているVVFは1.5mm か2.0mmなので注意。普通にホムセンにあった。銅の棒は高い。厚めの被膜もついているのでgood! 398円/1M 30cmもあれば十分では?
- あればはんだ付けがやりやすくなる: リングスリーブ 中 2個=5.5sqと溶接棒VVF2.6φの接続に使います。リングスリーブ 小 肝心な部分トランス一次側とかで便利でした。
費用概算: 大体6000円前後。一番値段の差があるコントロールボードをいかに安く入手するか?とパチンコ用のトランスの送料をどれだけ抑えられるかがポイント。
1,アダプターの殻割、分解
当方は手持ちの9V-430mAを使用。殻割とかあんまりしたことが無かったから手こずった。当初は嵌合部分をカッターで少しずつ切り込みを深くしていけば、、、、と考えていたが結局は力ずくですな。何とかして隙間を見つけ、隙間がなければカッターで作り、そこにマイナスドライバーを突っ込んでこじるっていう動作を何か所かで続けて浮かせていくと。
中のトランスは後のはんだも考えて2次側は基盤をカットした。一次側のコンセントは考えもあってそのままにしたけど結局カットした。
2,パチンコ用トランスの分解
同じものが用意できなかったので、350VAで周囲が鉄の筐体のものを入手。
ネジを外していくと「あれ1本だけ回しても回しても緩まない???」← 中からナットで留められているので共回りしてしまい緩みません。「実はこのネジはコアを固定しているだけなので、外さなくても筐体は開きます。」
ラインを留めているグロメットが、かなり外しにくいのでラインをカットしてしまった方が早いです。
正常動作を示すLEDもカットが早い。なんでカットを勧めるかと言うと、私のように頑張ってグロメットから外してもAC100Vラインは結局カットしないと筐体からフリーにならないので。まともに外そうとすると30分以上かかるし、さらにLEDの所はきれいに外せないからです。
二次線側(赤線24V AC)も使用しないのコアに近いところでカット。後で絶縁をしっかりやる。
ヒューズホルダの留めプラスチックナットは17mm。こちらも配線カットしないと外せない。再利用するので写真程度残してカットがbetter。
LED部分に抵抗とダイオードを発見。交流を半波整流してLEDを光らせてるんだねー。カラーコードから10KΩ±5%実測950Ω。ダイオードは1N4004 順方向最大1A ざっと計算してみると ACmax=141VとしてImax=14mAくらいであってる?こいつは移植してみようっと。動作中のランプがあった方がいいもんね。
ん?SD2,0と書かれたバリコン様の物が一次側の片方に2個入ってる。。。これはなんだ???しかも2.0じゃなくて2,0と何でカンマ?
こいつには悩んだ。回路保護のためのバリスタならAC入力に平行に入るはず。SDは電子記号だとショットキーダイオードらしいが、こんな形のショットキーはあるのか???
多分これは、トランスの突入電流防止のための”サーミスタ”だね。SDというのはサーミスタシェア世界30%の芝浦電子のマークで、おそらく2,0というのは室温25℃の時に2.0Ωなんじゃないかな。並列だから抵抗値は1Ωか。実測0.8~1.1Ωだった。 # 死ぬ気で探したが細かいスペックまでは発見できず。
しかし「しばらく使ったら飛んでしまった」というコアの温度ヒューズが見つからない。5.5sqを巻き巻きしてしまってから気づいたが、周りを囲む紙巻きの中に隠れてた。いらないのでカットして部品箱へ。7A 125℃の様子。
3,5.5sq巻き巻き
コツは最初の1-2巻きをタイラップで留めて緩まないようにする。最後も同じ。そうでないとどんどん緩んでいってきりがない。10巻きが限界だろう。
4,VVFΦ2.6からケーブル取り出し
VVFをできるだけまっすぐに整形してから、約15cm位好みの長さでカットし、被膜の真ん中にカッターで切り込みを入れ取り出す。取り出したら周りの粉は拭いといて。
5,はんだ付け前の考察
紹介ページだと一次側にアースを取って3端子のコンセントにしているが、自己責任でアース無しの2端子とした。ACアウトレット・インレットの費用節約と製作の容易さのためである。
サーミスタを残すかどうかでかなり悩んだ。
家のブレーカーには優しいかもしれないが、1Ωといえど電力の損失がある。それに一次側には電流が瞬時しか流れないといっても溶接を続けていればサーミスタは暖まり抵抗値が下がってしまうので、「溶接条件が変わってくるのではないか?」と考え、保護は15Aのヒューズのみに任せることにした。
また、代用の溶接棒が細すぎないだろうか?と悩んだ。他の人の製作記事を見ると皆さん5mm位の銅棒を使っている。大電流が流れるのに肝心のここでケチって、電流がフン詰まり(失礼!)で溶接がうまくいかないのでは本末転倒である。
VVF 2.6mm の導体抵抗は 3.35Ω/km まあ溶接棒が20cmとして、理論値は6.7mΩ
HKIV 5.5sqの最大導体抵抗は 3.27Ω/km 使っているのは3M位だから 最大9.8mΩ
なので、出口側の抵抗の方が小さいからあえて高価な銅棒を買うことはないかな?と考えた。発熱も気になるが実際にやってみるしかない。
そんな感じで製作は進んでいった。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません